医療法人

Penguin Clinic
since 1991

内科・脳神経リハビリテーション科
循環器内科・脳神経内科

【 検尿 】

 小学校でリトマス試験紙を使って、酸性とアルカリ性の勉強をした思い出を、多くの方がもっておられることでしょう。アルカリで青く、酸で赤く色が変わります。こんな試験紙を数ミリ角に小さくして、プラスチックの短冊に何種類か並べたものが検尿テープです。普通のものではリトマス紙の他に、蛋白、糖、血液が尿に出ているか判定するための試験紙と、尿の濃さを比重で計るものや、肝臓から出る色素の量をみるものなどが、細い短冊に並べられているのです。なかでも蛋白は健康な人では尿に出てきませんので、これが出ているかどうかをチェックするために大変役立つ検査なのです。

 尿蛋白が出るのは、ほとんど大部分が腎臓の病気です。なかでも慢性糸球体腎炎が大変有名です。ここでまず腎臓の働きを説明します。簡単に言いますと液体の中から色々なものを選り分ける濾過装置が腎臓です。コーヒーを豆から作るとき、じょうごのようなものに布を張って、その上に豆の粉を広げます。そこへ熱いお湯を上から注ぐと下の細い管から茶色の汁がコップの中に落ちてきます。あの仕組みが濾過装置です。

 腎臓の濾過装置は糸球体と呼ばれていて100万個くらいあります。濾過するのに布や紙製のフィルターを使う代わりに、腎臓では糸球体の薄い膜がフィルターの役目をします。もちろん顕微鏡で見ないと分からない程小さなものです。この糸球体の膜が炎症を起こすと糸球体腎炎という病気になるのです。数ヶ月以上に長引いてきますと慢性という言葉が付きます。糸球体は全身から流れてくる血液の中から、害になるものを選択して尿にして出したり、余分にあると身体のバランスが崩れるような過剰な物質を排出する働きをしています。ところが腎炎になると必要なものまで尿に出てきてしまいます。その代表が尿蛋白です。

 たいてい最初の診察では検尿をされます。健康診断でも検尿が必ずあります。これは腎炎という病気を発見するのに、検尿がなくてはならない検査だからです。慢性腎炎でやっかいなのは、症状が余りなくて、一旦かかると完全に治るということが期待しにくいことです。また、重症になりますと一日に何グラムも尿に蛋白が出てきて、身体の中の蛋白質が減ってしまう事さえあります。尿蛋白はそれほど多くなくても、濾過装置の糸球体がどんどん壊されますと、ついには尿の量が減ってきて尿毒症という状態になることもあります。どちらも治療が大変です。そうならないためにも、尿蛋白を検査して腎炎を早く発見することが大切なのです。内科医にとって検尿テープは一番簡単でとても役に立つ小さな検査道具です。