医療法人

Penguin Clinic
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内科・脳神経リハビリテーション科
循環器内科・脳神経内科

【 レントゲン写真 】

 患者さんを診ていると体の中で何が起こっているのか覗いてみたいと思うのは自然の成り行きです。しかし相手はただいま現在生きている人ですから、分解して中を調べるというわけにはいきません。そこで体の中を透かして見えたら。魔法のような透視の術が初めて考え出されたのはほぼ百年前のことです(※世界初の実用化は1898年)。いまでは魔法の術とは誰も思わないでしょう。光では突き抜けられない身体の厚みをX腺という放射腺は通り抜けることが出来ます。手前からX腺を当てて、身体の向こう側に蛍光板をおいておくと、身体の中の絵が映し出されます。X腺を発見した人の名をとって、レントゲン検査と呼んでいます。

 一番馴染みのあるレントゲン検査は胸の写真です。肋骨に囲まれた胸の中には、空気の詰まっている肺が左右にあり、真ん中に心臓があります。空気はX腺が通り抜けやすく綺麗に透けてみることが出来ます。そこに肺炎で細菌の巣になっているところがあると、白い影になって写ります。こうして容易に肺炎の診断が出来るのです。もちろん結核検診や肺癌検診にもなくてはならない検査です。心臓が弱って喘息のような状態になる心不全でも、肺に溜まっている極少量の水をみつけることが出来るのです。

 空気とは反対に、骨は硬くてX腺が通り抜けにくいため白く写ります。胸の写真では肋骨や背骨が写っていますが、もう少し下まで写ると腰の骨も見ることが出来ます。積み木倒しの丸い円盤、または大根の輪切りを思い浮かべて下さい。あの円盤の形をした骨が20個以上重なって、首から腰まで柱のようになっているのが背骨です。一つづつの骨は小さな骨の繊維で縦横に支えられています。この骨の繊維がスカスカになり折れやすくなった状態を骨粗鬆症といい、円盤形の骨が上下に潰れた圧迫骨折がよく見られるようになります。手足の骨折や関節の異常の診断にも絶対必要な検査です。

 レントゲン検査は身体のあらゆる場所の診断に役立ちます。乳癌の検診では手で乳房を触れてシコリを探しても見落とすことがあるので、最近ではマンモグラフィというレントゲン検査が勧められています。脳卒中の診療でなくてはならないCT検査も、じつはレントゲンの方法を使っています。ただし立体的に沢山とった絵を、大がかりなコンピュータを使って、精密な断層写真に構成して診断に役立てるのです。

 このように大変便利な検査ですが、一つ重大な難点があります。レントゲン検査で使うX腺は放射線の一種ですから、身体にとって有害だと言うことです。このため検査をする場合には、最小限の量になるよういつも気を配る必要があります。イギリスの雑誌に、世界で一番多くレントゲン検査をする国は日本だという話題が載って注目されました。病気のことが詳しく良く判るから、何でもやればよいと云うことは断じて許されません。患者さんも十分に放射線の働きを理解して検査を受けることが大切です。

 (※ 一部改変)